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福岡高等裁判所 平成9年(行コ)7号 判決 1998年3月04日

控訴人

城一郎

外一名

右両名訴訟代理人弁護士

舞田邦彦

塚本侃

被控訴人

岩下一之信

右訴訟代理人弁護士

河津和明

斉藤修

原田信輔

福山富士男

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決中、被控訴人関係部分を取り消す。

2  被控訴人は、波野村に対し、七億八〇〇〇万円及びこれに対する平成七年一月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二  事案の概要

事案の概要は、次のとおり訂正するほかは、原判決の「事実及び理由」の「第二 事案の概要」のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決七枚目裏四行目の「被告岩下には、」を「被控訴人は、」と改める。

二  同一〇枚目裏六行目の「拒んだため」を「拒み、あるいは、前村長による違憲、違法な不受理状態を解消する義務を怠り、さらにまた、前記不受理処分取消訴訟の提起後も紛争を維持継続し、敗訴判決に対し控訴することにより不受理処分に伴う違法状態を前村長と共同して更に継続したために」と改める。

第三  争点に対する判断

争点に対する判断は、次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決の「事実及び理由」の「第三 争点に対する判断」一及び三のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決一二枚目表末行から同裏初行にかけての「日本国憲法」から同五行目の「なぜなら、」までを削除し、同六行目の「被告岩下」の後に「、弁論の全趣旨」を加え、同行の「本件和解は、」から同一三枚目表二行目の「である。」までを「本件和解は、前説示のとおり、オウム真理教側において波野村内に所有する不動産を波野村に贈与して撤退し、これにより被るべき経済的、非経済的損失を波野村側において和解金の支払によって補償することを主たる内容とするものであり、双方の当事者の自由意思に基づき成立した合意であって、なんらオウム真理教関係者側の居住移転の自由に制限を加えるものではない。かりに、本件和解、特にそのうち、住民票の転入手続の取下げをすること及び右転入手続をしないことを約束する部分に居住移転の自由を制約する側面があるとしても、右制約は、オウム真理教の波野村への進出に伴って発生した波野村ないし波野村民とオウム真理教側との間の多数の紛争を解決し、将来的にも紛争の発生を予防して地域の平穏を図るという正当な公益目的の見地から許容される合理的な制約であることが関係証拠上認められるから、公共の福祉に沿うものであり、公序良俗に反するものではないことが明らかである。

また、当審における控訴人らの主張について補足するに、①波野村がオウム真理教関係者の転入届を不受理扱いにしたままの状態で本件和解が成立したからといって、それだけで右和解が当事者の自由意思に基づくものではないとはいえないし、②本件全証拠によるも、本件和解が、その目的及び目的を達成するための手段として相当性を欠いていたと認めるに足りず、③本件和解の内容に照らすと、右和解においてオウム真理教側において波野村長が負担する転入届受理義務を免除する旨の合意がなされたと認めることはできないから、免除の対価として和解金の支払を約束したものではない。」と改める。

二  原判決一五枚目表二行目の「相当でなく、」の後に「さらにまた、本件和解がその目的及び目的達成手段として相当性を欠くと認めるに足りる証拠はないことは前記のとおりであって、」を加える。

三  同一六枚目表三行目の「被告岩下は」を「被控訴人が、」と改め、同行の「拒否した」から同九行目の「不相当である。」までを次のとおり改める。

「拒否し、あるいは、前村長による違憲、違法な不受理状態を解消する義務を怠り、さらにまた、前記不受理処分取消訴訟の提起後も紛争を維持継続し、敗訴判決に対し控訴することにより不受理処分の伴う違法状態を前村長と共同して更に継続したために、本件和解の和解金を支払わざるを得なくなり、同額の損害を波野村に与えた旨主張するが、控訴人らが違法と主張する被控訴人の右各行為は財務会計上の行為とはいえず、住民監査請求及び住民訴訟の対象とはならないから、控訴人らの主張は採用できない。」

第四  結論

よって、原判決は正当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条一項、六一条、六五条一項を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官稲田輝明 裁判官田中哲郎 裁判官野尻純夫)

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